新春待望

仕事納めを終えた庁舎はひんやりとしていて、普段の喧騒が嘘のようである。

年も押し迫った或る日。
私も受講する市民協働大学のグループ会議のため、庁舎を訪れた。
対応する職員や年末の忙しい最中集まった皆さんに頭が下がる。
数時間の作業を終え、退庁時刻を名簿に記録しようとしたとき、
受付で、職員とやり取りしながらせかせかと何かを記入している男性が目に留まった。
何の書類だろうか。
ふと覗き込むと、そこには「出生届」の文字。
「おめでとうございます」
思わず言葉が漏れた。

玄関の外は夕刻の嵐が冷たさを扇ぐ。
忙しないこの時勢に、新しい命がこの地に誕生したことの喜びで、
ほんのり心持温かくなる。